なお、OSCARの原型は米国の沿岸海域を対象として1980年代に開発されたNRDAM (Natural Resource Damage Assessment Model)であり、ものモデルの概要はわが国でも翻訳・紹介されている。(Reed,M. et al. Realtime simulation and detection of oil spills.海洋工学コンファレンス論文集、11、65-90、1994年)。
一方、Lewis氏からは、1995年8月に実施されたリモートセンシングによる油分の検出とモニタリングに関するNOFO (The Norwegian Clean Seas Association for Operating Companies)の現場実験の結果を紹介してもらった。この実験は1994年に実施された分散剤の効果を調べるための現場実験に引き続くもので、レーダー(SLAR)、紫外線・赤外線スキャナー(UV/IR)、3波長のマイクロ波放射計(MWR)など各種センサーを搭載した航空機と人工衛星(ERS)により、実験的に海面ならびに海中(100m深)から流出させた油の時間変化を観測し、油の拡散特性や分散剤の散布方法による効果の違い、さらには各種センサーの検出性能などが比較・検討された。UVでは検出可能な油層厚の範囲が広いので油パッチの拡散範囲がとらえられるのに対して、IRとMWRではとくに濃度の高い部分が検出されている。これらのセンサーを組み合わせることによって油パッチの立体的な構造